海月記 ── 花笠海月の雑記帖

「くらげしるす」と読みます。

2018年8月25日の日記

※この日記は右記のnoteより移転したものです。https://note.com/klage


 山木礼子さんの未来大会の感想がおもしろかったので、私も書いてみます。長くなりました(約2700字)。自分ところの感想ですらこんな長く書いたことないよ。

 会の内容はかなり記憶が薄れているので書きません。気になる方は「未来」本誌のレポートをご覧ください。

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山木礼子さんのnote

未来 東京大会2018記録(前編)
https://note.mu/ry_memo/n/n8aae9bcf9f97
未来 東京大会2018記録(後編)
https://note.mu/ry_memo/n/n7abd06a7578c
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 今年の未来の大会シンポジウムのテーマが初期の女性歌人と聞いて、即座に「いい」と思った。「こういうことをやるのが結社の使命」と誰かに言ったような気がするけど誰にでしたっけ。
 これはお世辞でもなんでもなく、私は結社の役割とは「どういう歌があったのか伝えていくこと」だと思っているので、本心からの言葉です。
 歌会やイベント、作品を掲載する冊子を作るのは結社にいなくてもできます。
 一般的に知られていなくても、短歌の世界で知られてなくても、大事にされてきた人や歌ってどこの結社にでもあると思います。それに触れた上で「どうする?」って考えるのは各自の仕事。

 とはいえ行けるがどうかは微妙で、そろそろ埋まるかもよーという声が聞こえてから申し込みました。
 
 
 当日は早めに中野へ行き、南印度ダイニングで食事。チキンビリヤニセット。
http://www.minami-indodining.com/nakano.html

 サンプラザ方面に向かいつつ、道中の古本屋もチラチラのぞく。中野ブロードウェイの古本屋へ行こうとしたら、まだ開店してなくて入れず。残念だけど時間がせまっていたのでサンプラザへ移動しました。

 会場へ入ってまず、グッズを買いました。クリアフォルダ、トートバッグなどありましたが、てぬぐい愛好者なのでてぬぐいを購入しました。「未来」初期に使用していたロゴがあしらわれたものです。
 御糸さちさんが作られた冊子を小部手売りするという情報を流されていたので、開始前にそちらを購入。こういう冊子を買うのが趣味なので東京の文フリに出ないものは、つねに機会をねらっています(通信販売が苦手なのです)。
 
 
 そうこうしているうちに開始時間。
 内容は下記です。

・近藤芳美さん出演テレビ番組の上映
・大島史洋さん、大辻隆弘さん対談
・8名の歌人レポート(飯田彩乃さん、本条恵さん、盛田志保子さん、山崎聡子さんが2名ずつ担当)
 
 
 以下、おぼろげな記憶に基づいた感想というか連想したことというか。
 
 
・テレビ番組

 私は近藤さん生前に短歌をはじめているけど、特に接触なくすごしていたので動いている近藤さんを見るのははじめて。動画を滞りなく上映できるのもいいなー(配線はサンプラザの方だと思うけど、画面切り替え、PC操作等は堀さんが担当されてました)。アナログの世界に生きているとこういうことに感動できるのです。
 
・対談

 『岡井隆と初期未来 若き歌人たちの肖像』(大辻隆弘/六花書林)を読んでいたので、ある程度雰囲気はわかっていたつもり。少なくとも固有名詞でとまどうことはほぼありませんでした。
http://rikkasyorin.com/syuppan2007-08.html

 もちろん興味は「おふたりがどこをどこまで話すのか」でした。ゲスですみません。思ったよりしゃべったなー、という印象でした。内容というより固有名詞の出し方かな。こういうのは現場で聞かないとつまらないと思います。
 
・レポート

 とりあげられた8名のうち、事前に作品のイメージがあったのは河野愛子さんと川口美根子さんくらい。河野愛子さんは全歌集はないけれど、現代歌人文庫・現代短歌文庫になっているので手にとりやすいと思います。
 川口美根子さんも全歌集『ゆめの浮橋』(生前のものですので途中までですが)があり、こちらは図書館とりよせ(館館貸出し)まで視野にいれればアクセスできます。
 おふたりとも牧羊社の現代短歌入門自解100歌選に入っているのは、とっかかりやすいと思います(このシリーズ、15年前くらいだったら割と入手できたけど今はどうなんでしょ。バカみたいな高額にはなっていないと思います)。
 歌集がない人よりある人のほうがアクセスしやすく、歌集個別アタックが必要な人よりある程度まとまっている人のほうがアクセスしやすいということです。新刊本としては絶版になっちゃうけど、この手の本は図書館に残りやすい。

 後の6名は、近藤とし子さん、福田節子さん、真下清子さん、山口智子さん、湯村永子さん。
 8名というのは基本『未来歌集 自選二十人集』に参加された方から選ばれています。『未来歌集』は1953年発行。タイトルのとおり同人20名による自選百首アンソロジーです。この本のタイトルは対談でもよく登場しました。
 『未来歌集』は国会図書館でデジタル化されていますので、国会図書館もしくは「図書館向けデジタル化資料送信サービス参加館」(長い……)で閲覧できます。
http://id.ndl.go.jp/bib/000000913211
 「未来」本誌はデジタル化されていないので、国会図書館本館もしくは他の所蔵館に行かないと閲覧できません。

 モノクロコピーとはいえ、資料に全員の写真が入っていたのはよかったです。顔写真はもちろん集合写真がいい。歌会か何かのついでに撮影したのが雰囲気出ていてよかったです。
 こういうのがサッとできるのは年史を作成しているからだと思います(現実にはサッとでもないかもしれませんが)。六十年記念のほうは、未来短歌会さんに問合せてわりと最近に購入しました。まだ在庫あるかも?
http://id.ndl.go.jp/bib/000002129665
http://id.ndl.go.jp/bib/023268531

 このころに女性が年下男性と恋愛したり、結婚したりしているパターンがありますが、これは戦中の男性不足→未婚がひびいて、戦後も独身女性があまっていたからです。生涯未婚というひとも多いです。

(真下さんのところ)
 戦前から登山趣味ってあって専門誌もあったけれど、戦後は戦後でメジャーな趣味だったみたいです。山岳部のある高校、大学は多かった。漠然と1960年代より前に青春を送ってる世代って登山趣味、登山やってたって人とても多い印象です。
 
 
 
 ぼっち参加でしたが、会場に行ってみれば知っている方もおられ、なんやかんやとお声がけいただけたのはうれしかったです。もちろん知っている方だけでも全員には挨拶できませんが。
 たまたますれちがった大辻さんに「こんにちはー」と言ったのは特記すべきことかもしれません。1992年の短歌人の夏の会以来、同じ場所にいたことは何度もあったのに会釈以上のことはしたことなかったのでした。別に避けていた訳ではないのだけど、人みしりなので二次会等行っても知り合いとしか話さないため、よくあることなのです。
 
 
 終了後はみなさんは懇親会会場へ移動。私はササッとサンプラザを出ました。
 
 
 また早い時間ということもあり、会の前に寄れなかったブロードウェイの古本屋さんへ。中野は早稲田通りの古本屋さんも歌集ありますが、こちらにもあるのです。
 そしたら『未来歌集』があるではありませんか。ヤケヤケのコンディションでしたが、ちゃんとカバーも残ってるし、吉田漱さんのサインあるし、値段もそれほどでもないという。
 『未来歌集』がネタの会の帰りに『未来歌集』を拾うなんて、私の貧しい古本人生のなかでトップレベルのエピソードです。
 長らく古本屋の棚からいい本をみつけちゃうというドキワク体験から遠ざかっていたのですが、ひさしぶりに現場で掘ったという気持になりました。実店舗バンザイ。
 
 本当にありがとうという気持で帰宅しました。

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 下記はカバー写真。裏表紙の「バツバツ」ってなんだろーって思ってましたが、これ、「XX」(ギリシャ数字の20)ですね。

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